MRIの解像度 Matrixについて

CTやMRI、レントゲンなどの画像を撮影する際、写真と同じで画素数というものが必ず決められています。

画像の取得原理の違いからCTやレントゲンのmatrix数は装置で固有(ex.512×512, 1024×1024などスペックによる)であるのに対してMRIは任意のmatrix数に変えることができます。これは放射線を使った画像の分解能は装置に搭載されている放射線検出器のサイズに依存するためです。

一方MRIでは得たい画像によって任意にmatrix数を設定することができます。MRIのmatrixは縦×横のpixel数が必ずしも同じとは限りません。これはMRIの撮影時間が

で表されるからです。MRIのmatrixは位相方向のpixel数×周波数方向のpixel数で表されます。位相数というのは位相方向のpixel数のことです。

図のように位相エンコードと周波数エンコード方向のpixel数が等しい場合はpixelの形が正方形になりますが、臨床においてこのようなMatrixの設定をしている施設はほぼないでしょう。(等方ボクセル:3方向同じボクセルで撮影しないといけない撮影も中にはあります…)

理由としてはとても撮影時間が長くなってしまうからです。

図の(a), (b), (c) 3つの画像のうち撮影時間はいずれも同じです。ここでscan%というのは周波数方向のpixel数に対する位相方向のpixel数となります。(ex.Matrix scan: 512 Scan%: 50のとき周波数方向のpixel数は512×0.5=256となります)

(a), (b), (c) 3つの画像は撮影時間が同じにもかかわらず分解能は(c)が最も高く、続いて(b),(a)の順に分解能は低下していきます。なぜなら3つの画像の位相方向のpixel数はどれも等しいのに周波数方向のpixel数が異なるからです。撮影時間が同じならより高分解能な画像を撮りたいですよね?

実際にMRI装置を触るとわかりますが基本的には全体のMatrixを入力するところがあって、次にその値に対して位相方向のMatrixをどうするか入力する欄があります。

あまり適当なことは言えませんがうちの大学だと周波数方向のpixel数に対して60%~80%で設定することが多いですね。動く高齢の患者さん、じっとできる若い患者さんなど状況に応じてパラメーターを組めるのが理想の技師だと思います。

こんな感じで臨床に特化したMRIの知識を提供していきます。MRIについてもっと知りたい方はまた見に来てください。