MRIの撮影時間の短縮にはさまざまな方法があります。
その中の1つにFast Recovery法があります。(呼称 GE: Fast Recovery SIEMENS: Restore Philips: DRIVE)
T2強調画像というのはざくっとTR=4000以上必要としましょう。(正確な定義はありませんがとにかく長いTRが必要となります。磁場強度でも異なる。) これはT2強調信号を得る際、プロトンの横磁化成分の回復に長い時間が必要な訳で、TRを短くすると回復が間に合わず十分な信号を得ることができないのです。
![](https://mrsenpai.com/wp-content/uploads/2021/03/スクリーンショット-2021-03-16-22.23.39-1024x471.png)
そこで90度パルスの前に無理やり水信号を回復させるようなパルスを打ちます。
![](https://mrsenpai.com/wp-content/uploads/2021/03/スクリーンショット-2021-03-17-23.03.51-1024x716.png)
これによってTRを短い値にしても水の信号強度を高く保つことができ、時短しながら良質なT2強調画像を得ることができます!
![](https://mrsenpai.com/wp-content/uploads/2021/03/名称未設定-1024x551.png)
このFast Recovery法は臨床でめちゃくちゃ活用できます。主に水信号を強くしたい!という時や時短したい!というときです。
MRCPや3DのT2WIとか脊椎のT2WIなどなど、、、
ただ注意点もいくつかありますので、中級を目指す方は意識しましょう!
- IR法(Inversion Recovery)と併用できない→撮影原理的に併用できないことはお分かりいただけるだろうか。IR法を使う時は信号回復のために十分TRを伸ばす必要がある。
- あくまで水信号を強制回復させるだけなので腫瘍などの信号がTRの長い条件時のT2WIとは異なる可能性がある→Fast recoveryを使う場面、部位、タイミングはきちんと考える。
- 最短TRが少し伸びる→シーケンスチャートに-90°という余分なパルスが入るため最短TRが伸びます。よってTRが5000とか6000とか十分長い場合はFast recoveryを使用しない方が時短になります。
とはいえ使わないと身につかないので明日からぜひ使用してみて画像がどう変化するのか見てみてください!